レディネススケールとは: フォロワーのパフォーマンス(レディネス、能力・意欲)を診断するためのフィードバック表。 3. レディネス診断 ( 1 ) 使用資料 リーダー行動の対象となる相手の < 職務責任受入の準備度(レディネス・レベル) > を、( 1 )リーダーの診断、( 2 )フォロアー本人の自己診断、の 2 つの方法で行います。 ■ 診断表 · レディネス・スケール(リーダー用) · レディネス・スケール(フォロアー用) ( 2 ) 展望 < レディネス・スケール > は、リーダー行動の対象となる相手の < 責任受入の準備度(レディネス・レベル) > に見当をつけるための診断表です。レディネス・レベルの見当づけは < レディネス・スケール > のような診断表を使わなくとも可能ですが、暗算よりも算盤や計算機を使った方が計算がやりやすく、かつ正確さが期せるように、レディネス・スケールを使うことによって、診断がやりやすくなるばかりでなく正確さの向上が期待できます。それどころか、医師のカルテのように、健康(レディネス)状態を記録し、事後の < フォロアー管理 > に備えるデータバンクを作成することにもなります。 したがって、レディネス・スケールによる診断結果は、当面の仕事に関する指導(リーディング)のあり方を決めるのに役立つばかりでなく、仕事のコーチングや職場カウンセリングのための研修必要点の掘り下げと確定、さらには後述の < リーダーシップ・スタイル契約 > の基礎データとしても活用できます。 また、 < リーダーシップ・スケール > との併用によって、自分のリーダー行動調整の方向に対する示唆を得ることもできます。ちなみに、状況対応リーダーシップ ® では、レディネスのレベルを、 R1 、 R2 、 R3 、 R4 の 4 種のカテゴリーに分類しています( R は、英語のレディネス( Readiness )の頭文字です)。 図表 3 :レディネス・レベル レディネス・レベルは、前図が示すように < フォロアー > が、リーダーに引っ張られて他律的に行動する他律基調レベル( R1 ~ R2 )とフォロアーが自主的に行動する自律基調レベル( R3 / R4 )の 2 段階に分けられます。リーダーの行動もこれに合わせて大きく( 1 )前から引っ張る指導、( 2 )後ろから押す指導、の 2 種に分けて考えることができます。 なお、レディネス・レベル診断の一応の目安として、次の判断基準を知っていると便利です。 · R1 :能力も意欲/関心も低く感じられる(低能力/低意欲) · R2 :低能力だが、強い意欲/関心が感じられる(低能力/高意欲) · R3 :高能力だが、躊躇や不安、自信/意欲/関心のなさを示す(高能力/低意欲) · R4 :能力・意欲/関心の両面で高い(高能力/高意欲) また、上記のレディネス・レベル判断基準を展開すると、次のような < 徴候表 > としてまとめることもできます。 図表 4 : レディネス・レベルの徴候(例)
( 3 ) フォロアー本人の自己診断 これは文字通り、自分自身のレディネス(責任受入の準備度)のレベルを自分で診断する作業です。レディネス・レベルが 4 種のカテゴリ-に分けられることはすでに述べましたが、そのレディネスのカテゴリーを手掛かりにレディネス・レベル診断を行います。 自己診断には、 < レディネス・スケール(フォロアー) > を使います。また、参考には < 状況対応リーダーシップ ® (要約) > と < 同モデル図 > を使って下さい。 ステップ ① まず、 < レディネス・スケール(フォロアー) > を開き、上部所定欄に( 1 )対象者氏名、( 2 )日付、( 3 )リーダー氏名、を記入して下さい。 ② 次いで、(フォロアー/自分の)今年の仕事の目標(職責/プロジェクト)を、同スケール見開き頁( 2 ~ 3 頁)の左上の < 主要業務(担当業務) > 欄に重要なものから順番に、リストアップします。 なお、ここで記入する < 対象業務 > は、 < 仕事の目標 > の形で記入されていても < 職責やプロジェクト > の形であってもどちらでよいのですが、 < 目標 > の形で記入されているときには、その < 目標 > を果たすための仕事や作業を想像しながら記入しなければならないため分析がやや複雑になります。概して、 < 職責 > や < プロジェクト > の形で記入した方が、分析が進めやすいといえます(章末の記入例を参照)。 ③ < 主要業務(担当業務) > 欄の記入が済んだら、同スケールに記載の説明に従い < 能力 > 、 < 意欲 > を順次を分析して行きます(分析の仕方は、同スケールに記載されています)。 各項目(目標、職責、またはプロジェクト)の分析の進め方としては、対象業務項目ごとに縦列の方向へスコアを記入していって下さい。分析項目ごとに横の方向へ分析を進めていくと、分析の視点が仕事から仕事へ絶えず移動変化するため、判定結果にムラができ、全体として良い結果が得にくくなります。 ④ それぞれの仕事の目標(職責/課題/プロジェクト)についての分析が終ったら、あとは < レディネス・スケール(フォロアー) > 用紙に記載の指示に従って、対象者のレディネスを確認して下さい。 ( 4 ) リーダーによる診断 < リーダーによる診断 > の進め方も、フォロアー本人による自己診断の場合と、基本的には変りません。したがって、ステップについては、先に説明した < フォロアー本人による進め方 > をそのまま使って下さい。 リーダーの側だけでフォロアーの仕事に対するレディネスを調べ、その結果を参考にしてフォロアーを指導することも可能です。その場合、 < レディネス診断 > を行うタイミングは、フォロアーの仕事が変ったとき、新しい仕事が入ってきたとき、新任(着任)のとき、自分(リーダー)が着任したとき、など、変化のあったときをねらえばよいのですが、定期的に、定期健康診断のように、たとえば、 6 ヶ月毎とか、毎年一回とか、フォロアーのレディネスを調べる、というやり方も考えられます。 ( 5 ) 診断結果のリーダー/フォロアー間の認識比較 リーダー、およびフォロアーのそれぞれが行ったレディネス診断の結果は、異なるのが普通です。このことは、フォロアーが担当する職責(仕事の目標、プロジェクト)を遂行するためのフォロアーの 能力と意欲(つまり、レディネス) に関して、 リーダーとフォロアーの理解が異なる ということを意味しますが、これは重大なことです。理解の食い違いが大きければ大きいほど、事態は重大になります。その理由は、私たちが行動する場合、事実が客観的にどうである、ということよりも、 < 自分が事実をどう認知するか > によって行動する傾向をもつからです。リーダーは自分が認知しているようにフォロアーを扱うでしょうし、フォロアーも自分が認知したように行動しますから、リーダーとフォロアーの認知内容が異なると、お互いにちぐはぐな行動をとってしまう恐れをもっているのです( < 第 1 章:フィードバック表の使い方 > 参照)。 レディネス・レベルについて、リーダーとフォロアー本人の理解が食い違っている、と判明したら、なにはともあれ、双方の理解を一致させるべきです。そうでないと、 < 仕事の指導 > はもちろん、 < 業績評価 > も、 < 仕事の割当 > も、なにもかもが、満足には進められません。 ステップ ① リーダーとフォロアーが、それぞれ平行して < レディネス・スケール(リーダー) > および < レディネス・スケール(フォロアー) > に記入します。 この場合、列挙する < 主要業務(担当業務) > は、リーダーのものとフォロアーのものとを事前に < 同じ > にしておく必要があります。そうでないと、リーダーとフォロアーの分析結果を比較することができなくなってしまいます。 また、集合研修の一環として < レディネス診断リーダー・フォロアー間比較 > を行う場合には、研修プログラム実施に先立って、参加者のリーダー(たとえば、上司など)に < レディネス・スケール(リーダー) > を記入するよう依頼して下さい。その上で、研修プログラム中に、参加者(フォロアー)本人たちに < レディネス・スケール(フォロアー) > を記入させて下さい。 ② 記入された < レディネス・スケール > を、リーダーとフォロアーが互いに持ち寄って摺り合わせます。理解の食い違いが発見されたら、その理由を話し合って一致させて下さい。 集合研修の一環として行っている場合は、参加者(フォロアー自身)による自己診断が終った後、 < リーダーによる診断 > を参加者にフィードバックし、自己診断結果とリーダーの判断結果とを比較・検討させます(もし、リーダーの診断結果と自己診断結果が一致していなかったら、職場に戻ってから、認知内容の相違について、リーダーと話し合うように指示しておいて下さい)。 ③ 上下の対話を通じて一致した結果を踏まえ、第三の < レディネス・スケール > を合作してください(第三の < レディネス・スケール > 作成には、リーダー用を使用して下さい)。 こうして作成された第三の < レディネス・スケール > は、フォロアーのレディネス・レベルについての上下間の共通理解を示しているばかりでなく、レディネス・レベルについての上下間の < 合意 > をも示しています。ところが、状況対応リーダーシップ ® では、 < リーダーシップ・スタイルをフォロアーのレディネス・レベルに適合させよ > と主張しています。 すなわち、上下間で < レディネス・レベル > に関して合意することは、採るべき < リーダーシップ・スタイル > についても合意していることに他なりません。別言すると、上下間で < リーダーシップ・スタイル > についての < 約束(契約) > が暗黙裡に成立している、ことになります。この暗黙の契約を上下の話し合いを通じて確認するだけで、その後のリーダーの指導は、スムースに進められることになります(リーダーシップ・スタイルの契約 [1] )。 ( 6 ) 特記事項 総合職位レディネスと個別職責レディネス レディネス・レベルは、課題(仕事、事柄、作業、等々)ごとに異なります。会社の仕事ではレディネス・レベルが高い人も、家庭の炊事・洗濯ではレディネスが低かったり、英語を読むことにレディネスの高い日本人英語教師がアメリカ人の子供とすら話せない、といったことあるように、ある仕事に対してレディネス・レベルが高い人でも、別の事柄に対してはレディネスが低い、ということは日常見聞きするところです。 つまり、レディネスは < 人 > に付属する資質ではなく、 < 対仕事、ないし、対事柄の関係 > 、いいかえれば < 仕事と担当者との間の関数 > なのです。ところが、レディネス・レベルを測る尺度としての仕事の単位そのものが、必ずしも一定しませんからレディネスの判定は大きな仕事(の単位)についても、小さな仕事(の単位)についても行えるわけです。また、与えられた職位(職責全体)に対するレディネスを考えることもできれば、その職位に含まれる個々の職務に対するレディネスを考えることもできることになります。 [1] 「リーダーシップ・スタイルの契約」の詳しい解説は、「 MBO と状況対応リーダーシップ ® 」( CLS 社刊)をご参照ください。 < レディネス・スケール > においても、個々の仕事の目標(職責/課題)に対するレディネス・レベルと、職位(職責全体)に対する < 総合レディネス・レベル > の両方が記載できるようになっていますが、総合レディネス・レベルは、いうまでもなく個々の職責に対するレディネス・レベルの < 平均 > ではありません。注意して下さい。 図表 5 :レディネス・スケール記入例 ― その 1 図表 6 :レディネス・スケール記入例 ― その 2 |




