リーダーシップ・スケールとは: 実際のリーダー行動についてリーダーとフォロワーのすり合わせを行うためのフィードバック表。 リーダーとフォロワーの認識の違いを話し合い調整することは、信頼関係を築く効果があります。 4. リーダー行動診断 ( 1 ) 使用資料 職場の実際の仕事に関して、 < どのようなリーダー行動が採られているか? > をリーダー自身の目、および、フォロアーの目を通して診断します。 ■ 診断表 · リーダーシップ・スケール(リーダー) · リーダーシップ・スケール(フォロアー) ( 2 ) 展望 < リーダーシップ・スケール > は、現実のリーダー行動を具体的な仕事に則して診断するための診断表です。 < 想定された状況 > を基にリーダーシップ・スタイル(すなわち、リーダー行動の傾向、ないし可能性)の診断を目的とする < リード診断表 > とは異なり、リーダーシップ・スケールは現実に発揮されたリーダー行動を反映します。その意味で、リーダーシップ・スケールは、リーダーシップ < 現実化能力 > を診断する用具であるともいえます。 < リーダーシップ・スケール > には、リーダー用とフォロアー用があり、リーダー本人の目と周囲(フォロアー)の目で、リーダー行動の現実を映しだせるようになっていますが、 < フォロアー用 > は必ずしもフォロアーでなければ記入してはいけないわけではありません。周囲の人(たとえば、同僚やリーダー)が記入してもよいわけです。応用して使って下さい。もちろん、両スケールを併用し、リーダーの < リーダー行動認識のあり方 > についての理解を、他の人(同僚)や上下ですり合わせ確認し合うこともできます。 ちなみに、 < リーダーシップ・スケール > の記入法は、 < レディネス・スケール > 記入法と良く似ていますが、分析の仕方は異なっています。記入の仕方そのものについては、リーダーシップ・スケールに記載の < 記入の仕方 > を参照して下さい。 ( 3 ) リーダー本人による自己診断 < リーダーシップ・スケール > を使って、自分自身のリーダー行動を、現実の仕事に照らして自分なりに確認することができます。こうして自覚(自己認知)したリーダー行動自体には、良否や善悪の別はありません。問題は、 < 個々のリーダー行動がフォロアーのレディネス・レベルに適合しているか否か? > にあります。適合が悪いと、仕事(そして、監督指導)がうまく行かず、フォロアーとの関係も悪化するばかりか、長期・短期の両面で、職場や仕事に支障をきたします。これを未然に防ぐ意味でも、自分自身のリーダー行動のあり方を再確認しておくべきです。 ステップ ① 記入にあたっては、第一頁の < 記入の仕方 > を読んで下さい。次いで、第 2 ~ 3 頁にまたがる見開き頁中央の氏名欄に、リーダー(つまり、あなた)と対象フォロアーの名前、日付、等を記入して下さい。 ② 次に、左上(第 2 頁上)に、分析対象(手掛かり)となる仕事(課題/課業)を < 主要な仕事の目標、または、職責 > の欄に記入して下さい。 分析対象項目は、 < 仕事の目標 > の形で記入しても、 < 職責 > の形で記入しても、どちらの形で記入しても分析できますが、 < 目標 > の形で記入するときには、その < 目標 > を果たすための仕事を想像しながら記入しなければならないため、分析しにくくなります。概して、 < 職責 > や < プロジェクト > の形で記入した方が分析しやすいようです( <3. レディネス診断 > を参照)。 ③ < 主要な仕事の目標、または職責 > の列挙が済んだら、次に、仕事の目標、または,職責ごとに,縦の方向(つまり、仕事項目ごと)にスコアをつけていって下さい。なお、分析項目ごとに横方向に分析を進めていくと、分析の視点がそのつど異なった仕事へ移動変化するため、判定結果にムラができて、良い結果が得られません。 ④ 記入が終ったら、 < 指示的行動の側面 > および < 協労的行動の側面 > ごとに、縦列に得点を小計して該当 < 得点合計欄 > に小計結果を記入します(記入の仕方については、診断表そのものに記載されています)。 次に、第 4 頁の < データ・マトリックス図 > の指示的行動スコアと協労的行動スコアの交点の < マス目 > が示すスタイル記号 (すなわち、 Q1 、 Q2 、 Q3 、 Q4 、 または、 S1 、 S2 、 S3 、 S4 など)を、小計欄の下の < まとめ欄 > へ仕事項目ごとに記入して下さい(図 1 )。 こうして得た仕事(分析対象項目)ごとのスタイル記号は、色別、ないし、記号 (〇、×、□、△、など) を使って区別し、第 4 頁上段のデータ・マトリックス図上に記入して下さい(図 2 参照)。 この分析の結果、自分のリーダー行動が <Q (つまり、不適合 > と分かったら処置を採らねばなりませんが、処置の方向としては、基本的に、( 1 )自分のリーダー行動を調整する、( 2 )フォロアーのレディネス・レベルに働きかける、( 3 )自分のリーダー行動とフォロアーのレディネス・レベルの両方を調整する、の 3 方向が考えられます。これを判断の手掛かりに、状況対応リーダーシップにしたがって適切な措置を採って下さい(後述 < 拡大活用 > 参照)。 ( 4 ) 職場での活用 < リーダーシップ・スケール > の活用によって、日々のあなたのリーダー行動がフォロアーにどのようなインパクトを与えているか、を確認することができます。この場合、後述の研修プログラム中の活用の場合と同じように、 < リーダーシップ・スケール > はリーダーとフォロアーの双方が、それぞれ別個につけることになります。 作成済の < リーダーシップ・スケール > は、双方が持ち寄り摺り合わせ、話し合います。このプロセスを通じて、お互いの理解の食い違い( < Ⅰ.フィードバック表の使い方と考え方 > 参照)を発見し、リーダー(つまり、あなた)は自分の < リーダー行動 > について、フォロアーは自分の < レディネス・レベル > 向上に向けて、それぞれ調整するわけです。 なお、職場で活用する場合は、研修プログラム中の活用と異なり、リーダーとフォロアーは 対面して いますから、即座に誤解を解いたり、措置を採ったりできる、という利点があります。管理者たる人は、自分のリーダー行動の < 定期点検 > や < 定期修正 > を、たとえば 6 ヶ月毎とか、仕事や職場状況に大きな変化があったときとか、定期的に行って、リーダーシップ向上を心がけるべきでしょう。 ( 5 ) 研修プログラム中の活用 一定の日数(少なくとも、 3 日間以上)の研修プログラムでは、その研修プログラム中に、 < リーダーシップ・スケール > を使って、リーダーシップ研修を強化することができます。 プログラム実施に先立って < リーダーシップ・スケール(フォロアー) > を研修プログラム参加者のフォロアーに、また、 < リーダーシップ・スケール(リーダー) > を研修プログラム中に研修プログラム参加者に配布して、それぞれ別個に記入してもらいます(フォロアーたちが記入した < リーダーシップ・スケール > は、事前に事務局で回収しておき、研修プログラムの場で参加者にフィードバックします)。その上で、研修プログラム中に、参加者たちの自分のリーダー行動に関する < 自己診断 > とフォロアーからの < 他人診断 > とを比較・検討させます(この場合、他人診断の結果のフィードバックは参加者の記入が終ってから与えるべきです)。 このフィードバックのためには、定まったフィードバック表はありません。他人たちが記入した < リーダーシップ・スケール(フォロアー) > をそのままフィードバックして下さい。 この < リーダーシップ・スケール > 記入結果の比較を通じて、 < 認知的不協和 > が確認されるので、参加者に研修必要点を自覚させ、学習動機を高めることができます( < Ⅰ.状況対応リーダーシップ ®. 診断表の活用に際して > を参照)。しかも、そうして発見され、自覚された研修必要点についての関係知識や技能が、その研修プログラムに含まれているときには、参加者のその研修プログラムへの参加意欲を高めることにも繋がります。 ただし、研修プログラムにおけるこうしたフィードバックは、早い段階で行い、自覚された研修必要点に対する対策を採るための余裕と方法を、つまり対策のための時間と知識・技能を、当該研修プログラム中に与えるよう配慮すべきです。研修プログラム閉講直前に、こうしたフィードバックを与えたりすると、フラストレーションを与えたままで、放っておくことになります。 ( 6 ) 拡大活用の例 リーダー行動修正方向の発見 < リーダーシップ・スケール > と < レディネス・スケール > とを併用することにより、リーダー行動修正の方向の手掛かりを得ることができます。進め方は、つぎの通りです。 ① まず、 < リーダーシップ・スケール > によって、リーダー行動の適合性を求めて下さい(図表 7 参照)。 ② もし、得られた結果が、 <S ( S1,S2,S3,S4 のいずれか) > を示せば、リーダー行動とフォロアーのレディネス・レベルは適合しているので、リーダー行動に修正を加える必要はありませんが、もし <Q (Q1 、 Q2 、 Q3 、 Q4 のいずれか )> と判定された場合は、指示的行動なり、協労的行動なり、あるいは、両行動についての行動の増減が必要とされていることになります。 この場合、 < 指示的行動 > と < 協労的行動 > のどちらに修正を加えるべきかに迷ったら、レディネス・スケールに指標を求めて下さい。たとえば、図表 8 のケース 1 (〇印)において、レディネスが <R2> と判定されているなら、第一に行うべきは < 協労的行動 > を減らすことです。こうして適合性をひとまず <S2> の範囲に入れ、その後、適宜、指示的行動と協労的行動とを微調整します。 同様に、図表 8 のケ-ス 2 の場合(×印)では、相手のレディネス・レベルが <R1> と判定されているときは < 協労的行動 > を減らして <S1> の範囲に入れ、その後微調整すべきですが、相手のレディネス・レベルが <R2> と判定されている場合は < 指示的行動 > をひとまず減らして、 <S2> の範囲に入れ、その後微調整すべきです。 もちろん、図表 8 のケース 1 、およびケース 2 のどちらの場合も、相手のレディネス・レベルが、たとえば <R3> 、 <R4> といった全く異なったレベルにあるときは、診断そのものを始めからやり直すべきです。 ( 7 ) 特記事項 割当職務についての上下理解の一致 < リーダーシップ・スケール > 記入に際しては、同スケールに記載する < 仕事の目標、または、職責 > は、リーダーのものとフォロアーのものとを一致させておく必要があります。そうでないと、せっかく分析しても、結果は < 自分だけのもの > に終ってしまいます。リーダーとフォロアーの職責認識が一致しない状態での分析結果に基づいてフォロアーに説明しても、フォロアーには理解できないでしょうし、また、リーダーとの分析結果比較を行うにしても、リーダーの分析と自分の分析とを比較できなくなってしまいます。 個別職責に対するリーダーシップ・スタイルと職位、(職責全体)に対するリーダーシップ・スタイル レディネス・レベルが、課題(仕事、事柄、作業、等々)ごとに異なることは、すでに述べました。会社の仕事で活躍するすご腕の鬼部長さんも、家庭では自分の夕食すら作れないのも、当然の事なのです。 3. レディネス診断の章ですでに述べたことですが、レディネスは < 人 > に付属する資質ではなく、 < 対仕事、ないし、対事柄の関係(関数) > です。また、レディネス・レベルを測る尺度としての仕事の単位そのものが一定しないので、レディネス判定もいろいろな仕事の単位(大きさ)で定めることになります。つまり、与えられた職位(職責全体)に対するレディネスを考えることもできれば、その職位に含まれる個々の職務に対するレディネスを考えることもできるということです。 これをさらに一歩進めると、レディネスに対応させて考えなければならないリーダー行動もまた、 < 対仕事・事柄 > で考えるべきであり、いろいろな大きさの単位の仕事や事柄について、リーダーシップ(リーダー行動)が考えられなければならない、ということです。 なお、職責全体(職位)に対するリーダーシップ・スタイル(リーダー行動)は、個々の職責に対するリーダーシップ・スタイルの < 平均 > ではありません。 < リーダー行動の平均 > などという実体は存在しません。レディネス・レベルやリーダーシップ・スタイルは、判断の枠組として存在するものであり、そのような判断は < 職責全体(職位)として > 、また、 < 個々の職責として > も、どちらでも成立するものなのです。 図表 7 :リーダーシップ・スケール記入例(リーダー行動判定表) 図表 8 :データ・マトリックスの見方
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